恋花火~あの日、言えなかったコトバ~
マイのお母さんからアドバイスを受け、
何だか気持ちが軽くなったあたしは、買い物を済ませて帰宅する。

「えーと、まずは御飯を炊いて、と」

いつもは面倒な料理支度も全然苦にならない。
何かあたし、花嫁修行してるみたいだな…
思わず笑みがこぼれる。
ナオキくん、早く来ないかなぁ


「お邪魔しまーす」

時間になってナオキくんがやって来た。
うん、タイミングもバッチリ。
あたしはお皿に最後の盛り付けをして、テーブルに料理を並べる。

「おー、豪勢だな。準備大変だっただろ?」

「ううん、いっぱい食べて欲しかったから…ねね、早く食べてみて」

「あぁ。いただきまーす」
ナオキくんが最初の1口を口に運ぶ。

「うん、うまいよ。これなら俺の嫁さんとして100点満点」

「もう…褒めすぎだよぉ。はい、あーんして」

「馬鹿、恥ずかしいだろ。やめろって」

「いいじゃない、誰も見てないんだし。…それとも、こういうの嫌?」

上目遣いでナオキくんを見る。
あたしなりの、いつもの仕返し。

「1回だけだぞ、あーん」
こぼさないようにナオキくんの口に料理を運ぶ。

こうして、初めての手料理は大成功に終わった。
次は何を作ろうかな?
また、喜んでくれるといいな…
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