嘘と煙草と君とチョコレート
暗くてよく見えないけど、
そこには子供の頃の林さんが写っている。

「何で写真持っとるの?」

「いや、ずっと入れたままだったから。」


何枚かめくったところで、
一枚の写真に目がとまった。

船の上で撮られた、
学生時代の写真。

あどけない笑顔を見て、
思わず顔が緩む。

「全然変わっとらんね。」

そう言うと、林さんは少し照れながら笑った。

「・・・それ、あげるよ。」

「え゙っ!?でもさ・・・」


思い出の詰まった写真なのに、
私なんかが貰っていいのだろうか。

どうすればいいか迷っていると、
私から写真を取り上げた。

「やっぱいる〜!!」

必死に食らいついた私を見て、
林さんはまた笑った。
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