嘘と煙草と君とチョコレート
週末のお昼時、駅前は沢山の人で溢れていた。

恋人達の待ち合わせで有名な場所、
大きな像の前まで来た。

持ち前のずば抜けた視力で林さんを発見したものの、
なかなか近づく事ができない。


もし手紙を読んでなかったら?

私の顔を覚えてなかったら?

嫌な考えばかりが頭に浮かぶ。


"でもお客さんたくさんいるし、
覚えてなくて当然かな"

そう考えると少し楽になった。

優希の袖をギュッと握り締めたまま一歩踏み出す近づくと、
林さんは急に振り返った。

そして一瞬の沈黙の後、
まるで花が咲いたような笑顔になった。

「あ!!来てくれたんだ!!」
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