東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「!?」



コツコツと足早に近づく靴音。




「大変です。椿さん…御堂が…何者かに撃たれ陸軍第一病院に運ばれました…」
成宮さんが血相を変えて私に伝えてくれた。


「!?」



お父様が何者かに狙撃された時の場面と同じだった。


お父様が狙撃された時も…



私は優雅に珈琲を飲んでお菓子を食べてゆったりとした時間を過ごしていた。


私の知らない所でまた、大切な人が傷つけられた…

「…」



私は飲みかけの珈琲を元の場所に戻した。



「息はあるの?」



「…状況はわかりません。ともかく俺と一緒に病院へ」



「はい」



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