東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
通さんの運転する自動車で陸軍第一病院に急ごうとするけど。



巡行によって警察が道の交通規制を行っていた。




道路に連なる自動車。


時間が経てば経つほど、私の胸の不安の塊は大きくなっていく。

どうして私の愛する人ばかりが銃弾に倒れるのだろう。



「渋滞か・・・」



「…歩いて向った方が早いですね」



通さんはため息交じりに後部座席に座る私と成宮さんに呟いた。



「そのようだな…歩けますか?椿さん」



「あ、はい」


「では…自動車を下りて…病院に向かいますよ」




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