東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「外まで聞こえたぞ…喧嘩か?」



成宮が俺の見舞いに訪れた。



俺は着物の袖を通した。



「…ほら、これ…帝国劇場の『オペラ座の怪」の鑑賞券だ」



「…すまない」


「日付は千秋楽だ・・・それまでにじっくりと傷を治せ」



「…なぁ?成宮貴様…椿に好意を持ってるだろ?俺の代わりに椿と…」



「断る…貴様には隠していたが…俺には上海に許婚がいるんだ」



「!!?」



「…そうか…なら仕方がない…では樋川に…」



「…赤星庁官のせいか?」



「なぜ…それを知ってる?」


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