東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
早めの帰宅したので、夕食も椿と共にした。



「征史さんと成宮さんは帝様の巡行の警備をなさるのですか…ご立派です」



「別に…警察だけでは不安だから…駆り出されるだけだ」


「…私もひと目…帝様と后様を拝見したいです」



「ならぬ…色々と街が物騒だから…軍人の俺たちまで警備に借り出されるんだ」



「いいじゃあねぇか。非番の通に椿ちゃんの警備を頼めばいいだろ?」



「俺も椿様のお願いなら…命を賭けてお守りしますよ。征史様」



俺の背後に控えていた通まで成宮に同調した。




「…私…まだ、一度も東京の街に出た事がないんです。帝都デパート、新宿の映画館、帝国劇場…東京駅だって…征史さん…自分の目で東京の街を見るのはいけない事ですか?」

今時、東京に住んでいて街をこの目で見た事ないとは。

中尊寺財相は椿を大切にしていたんだな。



俺は昨日の夜を心の奥底から後悔した。







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