嘘と微熱と甘い罠

「もーっ!!いつもいつもいつも!!なんで仕事が入るのよ!!…相良っ、おかわりっ!!」

「…はいはい」





相良と飲むのは初めてじゃない。

同じ案件を抱えることも多いせいか、月に何度かはこうやって飲みに来る。

同期だし、気楽に話もできたりする。





「だいたい宣伝部ってそんなに仕事あるわけ!?」

「…さすがにそれは宣伝部に失礼だろ…」

「だとしても、笠原さんに押しつけすぎでしょーが!!」





ダンッ、と音をたてて。

空になったジョッキをテーブルに置いた。

…いや。

叩きつけた、と言った方が正しいかもしれない。

そのくらい私の鬱憤は溜まっていたのだ。





「…だから笠原さんはやめとけって言ったじゃねぇか」





憤慨する私を横目に。

相良は静かに、かつ冷やかに言葉を吐いた。



< 10 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop