嘘と微熱と甘い罠
頬を伝う涙が、次から次へと溢れてくるせいで。
今、相良がどんな顔をしているのかなんてわからない。
…見えていたとしても、そんなの知らない。
どうでもいい。
「楽しかった?おもしろかった?笠原さんに騙されてる私を見てて」
「なっ…!!」
「楽しかったよね?おもしろかったよね?相良は騙された私をさらに騙してたんだもんね」
自分のことだから余計。
言葉にすると情けなくて、悲しくて。
もうそんなの通り越して、泣きながらも笑いたくなってくる。
「…あのな」
「ホント、騙された。笠原さんも相良も俳優になれるよ」
「話聞けって」
相良は私の言葉を遮って話をしようとする。
でも私はそれをさせないように言葉を続ける。
「もう満足したよね?それともまだ足らない?」
「天沢、話聞けって」
「私は相良に振り回されて、掻き回されて…」
「…聞けっつってんだろっ!!」
「…もう、ぐちゃぐちゃだよ…っ!!」
相良の怒鳴り声と、私の涙混じりの声が。
会議室に響いた。