嘘と微熱と甘い罠

「…そんなモンですかねぇ」

「そんなモンだよ」





笠原さんの言葉に。

相良はいまいち納得のいかないみたいで。

首に締められたネクタイをキュキュッと緩めながらグラスに手を伸ばす。





「お前ら見てると男だ女だって意識してんのが馬鹿らしく思えてくる」





笠原さんは枝豆を口に放り込むと。

後ろに手をついて、天井を仰いだ。





「あー、俺もそんな女友達欲しかったなー」




笠原さんに女友達?

それはちょっと、いや。

かなりイヤかも…。





眉間にシワが寄りそうになった時。

相良が私を小さく指差した。



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