嘘と微熱と甘い罠
「…ここで、飲むの…?」
「寝てたヤツに拒否権なんかねぇよ」
「うっ…」
コンクリートで覆われた駐車場は建物の地下にあったらしい。
そして。
そのまま相良の後をついていくと。
外に出ることなく。
マンション内へと入っていった。
中にもお店があるなんてすごいマンションだな…。
なんて思っていた私は。
なんともおめでたい頭の持ち主だったらしい。
「入んな」と、相良に背中を押されたドアの先は。
お店じゃなかった。
…強いて言うなら、
居酒屋・相良。
そう。
相良の部屋だった。
「車あったら飲めねぇんだし。家飲みでいいじゃねぇか」
リビングに通された私は。
とりあえず邪魔にならなそうな位置に座って。
相良には気づかれないようにため息を吐いた。