嘘と微熱と甘い罠
腰に絡み付く相良の腕。
もう一方の腕は私の頭の下にあって。
目の前には素肌の胸板。
それに無防備な寝顔に、不覚にも心臓が跳ねてしまったけど。
それ以上に罪悪感と羞恥心でいっぱいで。
とにかくここから離れなきゃ、って思った。
どうにか相良の眠るベッドから抜け出して。
壁にかかる時計に目をやると午前様。
…何時間飛んでたんだよ、私…。
自分に呆れてため息が出た。
同時に、意識を手放した原因が相良だということを思い出したら。
また恥ずかしさが込み上げてくる。
「大通りに出ればタクシー、捕まるかな…」
とにかくここから出たくて。
相良を起こさないように部屋から出た。