[短編]美容師だって恋をする
待ち続ける時間っていうのは

なんてもどかしいものか・・・

客が来ない時は、店の漫画を読み返し、

客が来れば、忙しく・・・

そんな毎日を僕は淡々と繰り返し。

でも、マミはなかなか現れない。

数少ない女性常連客に聞いてみる。

「女性ってやはり美容院は月1ペースですかね?宮本さん・・・」

「そうよね・・・大体。若い子はわかんないけど。

うちらみたいなおばさん世代はパーマがとれかかったら来るでしょ?」

おやじの同級生・宮本さん(自称・60歳)何でも相談に乗れる頼りになるおばさんだが・・

女性に女性の事を聞くのは、自爆に等しかった。

宮本さんのその後の攻撃は激しく、

ことごとく、僕はマミについて質問され。

「今度逢わせて・・・連れてきて・・・」と、何度も何度も。

そしてとうとう・・・

宮本さんの中では、もう僕たちは付き合っていることになってしまった。



まだ、告ってもいない


でも、ここ数週間でマミのことを人に話始めたら

なんだか、本当に好きになってしまいそうな

気になってるから、好きへのスイッチは

いったいいつから変わるんだろうか・・・



閉店後は決まって馴染みのカレー屋に行く。

恋をしてから、味の好みが変わってしまった。

とびきり辛めで。刺激的な。

とにかく、僕の中は体中が熱く恋に焦がれていたのか・・・。




翌朝は、長く降り続いていた雨がやんで

梅雨明けしてしまいそうなくらいの暑さ

店への階段を降りていくと

今、一番逢いたかったあの人が

店の前で待っていた。



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