[短編]美容師だって恋をする
沢田からシュンに変わったのはいつからか?


マミが「シュン・・・シュン・・」と


まるで飼い犬をあやすようにように僕を呼ぶ。


僕は仕事中も

マミからのメールには必ず返事した。


返事ができずに半日でも放置すると

マミは拗ねて、豹変する。



21歳の女の子

いつでも彼氏と一緒にいたいし

メールだってつながっていたい。

それが普通なんだ。

僕は、マミのしたい恋を

させてあげたい。僕でよければ・・・


拗ねたマミからのメールはすぐわかる

やっと会えそうなのにわざと予定を変更してくる。

「もう、会えない。」なんて言ってみたり

心配をかける言葉ばかり。


いつの日か

深夜の街

「迎えに来て!」って

なんで一人でそんなことしているのか?

終電を無くしたマミ。お酒もだいぶ飲んでいて・・・

怒りたかったけど、なんだかこの女が痛々しく

僕は背負って街を歩いていた。



そんなことも・・・


マミはいつもケロっと忘れてしまって


「おはよー。行ってきます。」って



その日は久々の撮影日だった。


「ねえ・・・今日はちゃんと帰ってきなよ。」


「うん・・・頑張ってくる。」マミは穏やかに答えた。















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