君に奏でる夜想曲【Ansyalシリーズ『星空と君の手』外伝】



美加が理佳が暴言を吐いてすぐに、
俺は理佳のことは隆雪に任せて、美加を連れてエントランスを離脱した。


病院内の喫茶室でお茶をしながら、
美加の気持ちを聞き出した。


喫茶室で、アイツは……初めて『託実が好き』っと
ずっと秘めつづけてきた想いを告白してきた。


それと同時に、学校内で俺に告白しては、断られている女の子たちが多いのも知っていたから、
自分の気持ちを伝えることが出来なかったと。


誰一人、告白してきた想いに寄り添うことのなかった俺だから、
何時しか、学校の女の子たちは、先輩も後輩も含めて俺は【皆の愛でる存在】みたいな感じに
なってたらしく、放課後の陸上部の練習の時に、応援で集まってたらしかった。


そんな子たちよりも、少しは近くで感じていたくて
美加は、陸上部のマネージャーへと就任した。

部活に入りたいがために、勉強も必死にこなして成績をあげて
両親を説得しながら。


そんな俺が、入院した途端に理佳を意識してるのは
すぐにわかったらしい美加は、理佳を潰したいと思った。



そんな風に自分の気持ちを吐き出してくれた。



だから俺も、美加に対しては他の誰よりも真摯に告白に対する返事をしたいと思えた。



俺が抱き続けたコンプレックス。
理佳と出逢って、移り変わっていった俺自身の気持ち。


叶うなら、アイツと恋人同士になりたいと思ってること。





そしてもう一つ。



理佳に……この狭い、病院と言う箱庭でしか人との交わりがない理佳に
女友達が出来ればいいと思った。



好きなアーティストのことや、ファッションのこととかを
気軽に話せる友達、仲間。




残酷だと思われるかもしれないけど、
アイツにとってのそんな存在に、理佳になってほしいって、
俺は自分の心のままに告げた。


下唇を噛みしめながら、同意してくれた美加。




だけど……美加の中に、
消化できない想いがあることも知ってる。




「託実、もういいわよ。

 託実があの子を好きなのはわかったから。
 それで、託実は私に何をさせたいの?

 あの子の女友達がどうとかって、
 振られたけど、それって私の問題じゃなくて
 あの子でしょ?

 
 友達って言うのには、時間がかかるかも知れないけど
 託実を好きな者同士、
 ライバルくらいにはなれるかも知れないわね」
 
 

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