王子様と恋したい

「名前を呼んだら入って来てね。」



クラスに入る近藤先生を見送り、わたしは廊下で待っていた。



ザワザワザワ



廊下にまで聞こえる教室の声。


転校生ってことにみんなテンション上がってるらしい。



「坂下さん、入って来て」



ガラッ




近藤先生に呼ばれ、教室に足を踏み入れた。


その瞬間…


『ウォー‼‼‼転校生って女子かよ!!』


『やべぇ、めっちゃ可愛いじゃん!てか美人?!』


『あー。俺毎日学校来る。』


色んな声が教室内に響いた。
正直耳が痛い。鼓膜破れる。


そんなみんなの声は無視して、淡々と挨拶をする。



「坂下夏希です。これからよろしくお願いします。」


頭を下げてとりあえず微笑んだ。


するとみんなが顔を真っ赤にして黙りこんだ。


(わたしの笑顔そんなキモかったかしら…)


なんて夏樹が思ってるなんてみんなは知る由もなかった。






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