唇が、覚えてるから

観念して祐樹のことを話すと


「「え―――!!」」


2人は声をハモらせてビックリしていた。

初日に会って以来、祐樹のことは口にしていなかったから当然だ。


「いつの間にそんなことになってたわけ?初めはあのイケメンムカつくとか言ってたじゃん!」

「やるぅ~琴羽!」

「イヤよイヤよも好きなうち、だったか」

「いいな~、私もそういう癒しが欲しいっ!」


そして盛り上がる。


「……うん」


なんだか照れくさい。

単なる片思いだけど、見てるだけの恋とはちょっと違うから。

少なくとも嫌われてはいない……はず。


「で、年はいくつなの!?」

「学校は!?」


質問攻めの2人に、私は一つづつ答えて行った。
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