唇が、覚えてるから
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「わぁぁぁっ……!!!!」
胸の中に秘めておくなんて無理で、部屋へ入ってからも涙が止まらなかった。
「あったま来る!何そいつ!こんど樟大附の奴に会ったら文句言ってやる!」
怒りを前面に出した希美の横で、真理は黙って私のことをずっと抱きしめていてくれた。
「もう忘れちゃいな。笑顔じゃない琴羽なんて、琴羽じゃないから……」
忘れられたら……
どんなにいいんだろう。
私は真理の胸の中で、そのまま眠りについてしまった。