ルーツ
「まったく、首の動脈なんか切りつけるから
血しぶきが天井まで飛んじゃったじゃないかあ。

あれだけ言ったのに裕未ったら…


それにしても黒沢映画の血しぶきの演出って
本当だったんだなあ!


ホースが外れた水道みたいにブシュー!だもんな」


徹が、壁紙をべりべりとはがす。



そこには







まるでどこかの前衛芸術のように、壁一面が赤で染まっていた。
スプレーで拭きかけたようなその








は部屋一面にびっしりとついていた。





切りつけた?私が?誰を?




裕未がふと見ると


真っ黒な血が裕未の両手にべっとりと付いている。
黒い血を取ろうとしても
異様なにおいを放つ黒い血はとれない。




「ははは、その血は取ろうとしても無理なんだよ!
その黒い血はね!殺人者の手について一生消えないらしいんだよ!


怨念ってやつ?ははは」
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