ルーツ
ケトルがお湯が沸いたのを知らせ、
目玉焼きと焼いたパンが食卓に並ぶ。


朝の光が部屋に差し込み、裕未の顔を照らす。
徹はネクタイを巻いて出かける支度をしている。


いつもと変わらない朝。
平凡な日常。


「じゃあ会社に行ってくるけど、くれぐれも
気をつけるんだよ!
何かあったら携帯ならして!」


徹の言葉を聞いて裕未は不満顔。
すねて下を向いている。


「どうしても行くの?会社?」


「ああ。今日は大事な仕事があるんだ。
どうしても行かなきゃならないんだよ」


背広を着て鞄を持ち、玄関へと向かおうとした徹を
裕未は悲しそうに見つめる。


玄関で革靴を履く徹。


「じゃあ、行ってくるよ」


ドアを開けて出て行こうとする徹を
背後から裕未は抱きついた。

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