YUKI˚*










「おっはよー!」




教室に入るなり、あたしに元気よく挨拶してきたのは



佐々木 愛美(ささき まなみ)




あたしの友達



あたしは"まなみん"って呼んでる


性格はサバサバしててイケメン好きだけど



すごく友達思いで


大好き





「おはよー」



「どーしたの、ゆき。元気ないじゃんー?」


まなみんがあたしのほっぺを引っ張る



「んー…なんか、昨日の帰りにーー」



まなみんに昨日会った金髪の人のことを話した





「へー…じゃーコートは返ってきそーにないね」



「え、そこ?!」



「だってゆき、あのコート気に入ってたじゃん?」




うーん…まぁ、そーだけど



「なんか、あれからあの人のことが気になっちゃって……」




するとまなみんの顔がパッと明るくなる



「えっ……?!それって恋??」



は……?


ま、間違えた!



言い方を間違えたっ!!




「ちっ…違う!大丈夫かなーって思うだけ!」



「ほんと、優しいねーーゆきは♪」


と、まなみんがニヤニヤしながら言う



「もう!違うって!」


こうなると、もうまなみんはあたしの言うことなんて耳に入らないんだ


勝手に自分の中であたしの妄想を膨らまして…


もー知らない


プイッと横を向くと、隣の席が目に入った




そこの席の人はまだ来てない


てゆーか、たぶん来ない



「ねー、この席の人ってもう学校辞めたの?」


拗ねていたことなんかとっくに忘れて、まなみんに聞いた



「あー、須嶋?」




須嶋 健人(ましま けんと)



学校一の不良らしく、学校に来てるとこなんて一度も見たことない




「その人怖い人なんでしょ??苦手だなーあたし」



「まー、ゆきは嫌いそーだね。でも超イケメンらしいよ!」



まなみんがキラキラした目で言う



「ふーん。そーなんだ…」



あーまた始まった


まなみんのイケメン好きが




「何よゆき!興味ないの!?」




「別に


バンッ……!!!



突然、すごい音と共に教室が静まりかえる


誰かがドアを思いっきり開けたらしい



誰……?


そー思って、みんなが視線を向けている方向にあたしも視線を向ける




「あっーー!!!」


あたしは声を上げた



だ……だってだって


そこにいたのはーー



顔に大きな傷がある



綺麗な金色の髪の



昨日会ったあの人!!!




そしてあたしはハッとした


みんなの視線を感じて慌てて口を抑える



けど、もう遅かった



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