紙ヒコーキとアオイくん
となりに、キミの姿
―――――――
――――


とても、あたたかい。

そしてなんだか、すごく落ち着くかおりがする。

それは、……ああ思い出した、彼の──……。



「──……う、由宇、」

「……アオイ……くん……?」



重いまぶたを開き、机にうつぶせていた顔を上げる。すぐ近くに、彼の綺麗な顔があった。

いまだまわらない頭で見つめると、その彼が、ふっと笑う。



「何それ、懐かしい呼び方。寝ぼけてるの?」



言いながら、彼はあたしの髪をやさしくすいた。

その心地よさにうっとりとまた目を閉じかけるけれど。すぐにあたしはハッとして、勢いよく上半身を起こす。



「いっ、今何時?!」

「夜の8時。俺の方も片付いたから、そろそろ帰ろうか」



のんびりした彼の口調とは裏腹に、あたしの心中は穏やかじゃない。

なんてことだ、明日の準備をしながら、いつの間にか1時間近くも寝てしまっていたのか……!

あわてて椅子から立ち上がりかけたあたしの肩を、彼があっさりと押し戻した。

昔よりもかなり背が伸びた彼は、あたしがふせていた机に片手をつくようにして、顔を覗き込んでくる。
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