tender dragon Ⅲ

休日だから人はチラホラいるけど、あたしたちを気にする人はいない。

握られた手が、さらにギュッと握られた。

「あは、俺変態みたいだね」

のんびりした口調で言った後、何ていうか……すごく、愛おしいものを見つめるような目であたしを見て、また頭をポンポンと撫でる。

また、心臓がキューッとなる。


「こんな爽やかな変態いないよ」

「そっか、それもそうだね」

なんて言って、2人して笑った。

また隣を歩く希龍くんは、ものすごくご機嫌で楽しそうだった。


「希龍くん、楽しい?」

「何で?」

「なんか、すごく楽しそうに見えたから」

「2人きりって久しぶりだからね、楽しいよ。美波も楽しそうだけど」

「うん、あたしも楽しいっ」

特別なことなんてしなくても、こうして並んで歩くだけですごく楽しい。



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