Only One──君は特別な人──
二番目の女
「──じゃあまたね」

「あぁ。またな」


竜(りゅう)くんはそう言って、あたしの頭をクシャクシャと撫でた。

こうされるのは嫌いじゃないけど、この時間は最高に嫌いだ。


「竜くん、あの……」


──次はいつ会えるの?

なんて聞けるわけがない。あたしはぐっと言いたいことを呑み込み笑顔を作った。


「どうした? もえ?」

「今度会えるの楽しみにしてるよ」

「オレも楽しみにしてるよ」


あたしが車から降りると、竜くんは一度だけこっちを見て「じゃあな」と言うように片手を上げた。

応えるように手を振った。
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