Only One──君は特別な人──
あたしが竜くんに終わりを告げたのは、貴広とつき合うことになった日の夜のことだった。

実家から電話をかけて竜くんにこう言った。


『──竜くん、あたし達終わりにしよう』

って…。

『新しい男がそんなにいいか?』

『うん。二番目の女でいることに疲れたし』

『そうか…。でもオレの話を聞いたら考えも変わると思うんだけど』

『話すことなんて何もないから。彼女と幸せになって。さよなら』

『もえ、話を聞いてくれ──…』


確か、あたしはそこで電話を切ったんだ。


「──オレはもえと出会った時から、彼女と別れようとしてたんだ」

「何言ってるのよ? クリスマスの日、彼女と楽しそうにツリー見てたくせに。どこからどう見ても幸せそうなカップルだった!」

「クリスマスの日?」



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