Only One──君は特別な人──
衝突


それから、貴広はすぐに家にやって来た。

インフルエンザで熱が下がっても外出禁止を言い渡されているのに。

あたしの顔を見るなり、貴広に抱きしめられた。

「──あいつに何もされなかったか?」

「うん。大丈夫だったよ」

「もえ、タバコ臭い。何か証拠残された感じがして腹が立つ」

竜くんは帰りタバコを吸いながら運転していた。

その時、匂いがついたのだろう。

貴広はタバコを吸わない。だから余計に分かってしまうんだ。

「あいつは何しに来たんだよ?」

「……」

「全部話してくれよな?」

そう言って、貴広はあたしから体を離した。
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