Only One──君は特別な人──
コクンと貴広は無言で頷き、あたしに車の中で待っていることを告げて、その場からいなくなった。

あたしと竜くんは向かい合う。

冷たい夜風が吹き抜けていく中、竜くんが口を開く。

「もえ、最後にもう一度言わせて欲しいことがある」

「何?」

「本当にあいつでいいのか? オレに気持ちが戻ることはないのか?」

「それはないよ」

即答してしまう。

「そうか…。あいつ見た目は草食系ぽっいけど、実際はなよなよしてるところがないし、真っ直ぐで男らしいもんな」

「うん」

「オレがガンとばしてビビらなかったのはあいつが初めてだよ」

確かに、貴広は竜くんの怖い目つきから一度も目を逸らすことはなかった。

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