Only One──君は特別な人──
「──何で今まで、水谷の良さに気付かなかったんだろうな」

大野さんは言葉を続けた。

「笑ったり泣いたり。クルクル表情変えて素直で可愛いなって思ったんだよ」

「それって単純ってことですよね?」


“顔に出て分かりやすい”──って、昔から散々言われてきたし。


「でもオレはそいう子が好きなんだよ」

「……」


好きという言葉に顔が熱くなってしまう。


「会社での水谷は、もっとクールな感じだよな。仕事を淡々とこなして、人とあまり関わらないところがあって。とっつきにくいところがあるような…」

「あたしそんなふうに見えてたんですか?」


意外なことを言われて思わず後ろを振り向いてしまった。

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