Only One──君は特別な人──
モニターホンで誰なのか確かめると貴広の顔が映っていた。

あたしは玄関のドアを開けた。


「──家帰ったら、もえがいなかったから来てみたんだけど。もしかして寝てたとか?」

いつもと変わらない貴広の笑顔。

あたしは無性に腹が立って仕方なかった。

こっちはもやもやを抱えているというのに。


「もえ? どうした?」

「…別に何でもない」

そう言って貴広から目を逸らす。

「何か不機嫌に見えるのは気のせい?」

「……」

「だからオレの家にも来たくなかったって感じ?」

「そんなんじゃないってば!」

きつい口調になってしまった。

これじゃあ、その通りですって言ってるようなもんだ。












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