シャッターチャンス


どれくらい泣いただろう?

夕暮れ色に染まっていた部屋がいつの間にか真っ暗になっていた。
静かな部屋にはあたしが鼻をすする音しか聞こえない。
そばにいる諒さんに申し訳なくて、声を掛けることができなくて溜息が漏れそうになった時、母さんの声が響いた。

「二人ともごはーん!」
「すぐ行きまーす」

諒さんが何食わぬ声で応えた。
それを合図の様に立ち上がると、やっと声の通った部屋に電気がついて、諒さんが寂しく笑った。

「暁、本当にごめんな…」
「あたしこそ、すいませんでした…」

あたしの言葉に諒さんはゆっくり口に弓を張って微笑んだ。
いつまでも、どこまでも優しく——。


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