生徒会室まで来なさい。
◎当選確実


「――以上を、池松高校生徒会会長の立候補演説とさせていただきます。
皆さん、ご清聴ありがとうございます。」

壇上の彼がそう言って一礼すると、拍手とともにヤジにも似た歓声が体育館に飛び交った。


「いいぞー瀧澤ー!」

「タッキーかっこいー!!」


ピーピーと指笛を鳴らす者まで居る。


「生徒会なんて、なんでわざわざ立候補してまでやるんだろうねぇ…」


私は気の無い拍手をしながら、隣に座る亜紀に話かける。


「さぁね?推薦狙いなんじゃん?」

「でも瀧澤って、頭いいじゃん。
推薦狙わなくても、もっといい大学行けるんじゃない?」

「まあ確かにね。
気になるんだったら沙奈江、あんた生徒会入って本人に訊いてみたら?」

「やだよ、めんどくさい」

ははっと鼻で笑って、冗談を流す。
本当に、なんでわざわざ生徒会なんてやりたがる人が居るんだろう。


ま、私には関係ないけど。


拍手はまだ、体育館に鳴り響いている。

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