顔の知らない大好きな貴方へ

♯1

「なぁーんかさ。私想像してたんだよね。高校生になったらさ、当たり前のようにかっこいい彼氏ができてさ。放課後デートとかしちゃってさ。でも実際ないよねー。少女漫画的な出会い。」


私の友達がとってもおいしそうなハムチーズコロッケを口にほおばりながら語りだした月曜日の昼食の時間。


その日は特に、セミの音がうるさかった。


「あたしなんてさ。高校デビューとか意識しちゃってさ、張り切って髪切ったっていうのに、なぁーんの効果もないんだよ。」


そういって、また友達は、おいしそうな焼きそばパンをほおばる。


高校に入学して早4ヶ月が過ぎようとしていた。


最初は、着慣れなかった制服も今では、衣替えしてだいぶ慣れてきたって感じだ。


私達が通う花岡高校は、制服の可愛さで有名で制服目的で志望する人も少なくはないといえるだろう。


ブラウンのブレザーに赤いリボン。袖にはレースがついていて、スカートも黒とブラウンのチェックに白いレース。


校則もそれほど厳しくはないらしく、ピアスをあけたーなんて話はしょっちゅう聞く。


そして、男子の制服もなかなかだ。


白いワイシャツの上に黒いカーデ。学ランっぽいんだけど、ちょっと違う。冬になるとみんなカーデのなかにフードつきパーカーなどをきていてこれまたかっこいい。

下は、黒いズボンで、下げパンなんて常識って感じでみんなしてる。


あ、これは衣替え前の制服の話で、衣替えしたら男女どっちもワイシャツにスカートとズボンだ。


でも、女子のワイシャツには真っ赤なりぼんがついてるし、男子はネクタイがついている。


三年生になると、この学校の裏校則でりぼんやネクタイの色や形をかえてもいいとなってるらしい。


だから先輩のネクタイやりぼんは派手で、豹柄のネクタイをしてる先輩やゼブラ柄のりぼんをしてる先輩もいた。




そういう先輩にあこがれてるわけじゃないけど、そうやって個性を出せるのはいい事だと想う。







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