①憑き物落とし~『怨炎繋系』~

「俺は大丈夫だからさ、ちゃんと相談しろって」
「うん、ごめん」
 
 怜二は大学のひとつ上の秀才で、映像研究サークルで知り合った。怜二は付き合った当初から私のことを妹のようだと言っていて、些細なことであっても、何かあるとすぐに相談に乗ってくれた。それでもいきなり話すのには抵抗があったし、本当はまず友人の柚子に相談しようと思っていた。しかし、こういうときに限って都合が合わず、今日は大学には来ていなかった。

 以前、柚子に知り合いに「そういうもの」関係の仕事をしている人がいると聞いていたのだが、正直どこで受けるべきなのかとか、私にはそういう専門的な判断は出来ないし、そもそも人に打ち明けたいことがなかった。
 
 キャンパスを出てから、30分くらい走ったところで、目的の寺に到着した。

「ここか」

「なんていうか――とにかくすごい歴史あります、って感じだね」

「ああ、とりあえず境内に入るか」

 私達は近くの道路に車を停めると、苔の生えた石の階段を登り、境内へと入る。ところどころに今にも崩れそうな小さいお地蔵さんが点々と列をなし、その全てが私達を見ているかのような錯覚に陥る。
 
 境内への扉は開いており、もう大晦日の準備を始めているのか、おみくじやお参りのお店らしきものがちらほら出来ていた。広さはざっと小さい野球グラウンドくらいはあるだろうか。

「お参りですか?」

 バイトの人だろうか、若い巫女さんが私達に声をかける。

「あ、いや、ちょっと、住職さんに相談したいことがありまして……」

「……はい。承りました。では、こちらで少々お待ちください」

 巫女さんは視線をやや下げながら私達を一瞥すると、丁寧に私達を奥へ導く。

「なんか、慣れてる感じだね……」

「そうだな」


 靴を脱ぎ、紫色の座布団に腰を下ろす。

 縁側に似た廊下で待っていると、5分程でそれらしい人が現れた。


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