愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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ほんの一瞬のことだったように思う。
背後から足音が聞こえ――その直後、太一郎を蹴ろうとした少年のみぞおちに膝が入っていた。
男は後ろ向きのまま、太一郎の腕を押さえていた少年の頬を肘で殴る。そのまま、身体を押さえていた少年の襟首を掴み上げると、呆然と立ち尽くす少年に向かって突き飛ばしたのだ。ふたりは抱き合うように地面に転がった。
太一郎も驚いたが、郁美はもっと驚いているだろう。
そのとき、最初に膝蹴りを食らった少年がよろよろ立ち上がり……その手にナイフを持っていた。
少年は奇声を上げ、背中を向けた男に突っ込んだ。
「卓巳! 避けろっ!」
太一郎には叫ぶことしかできない。
ほんの一瞬のことだったように思う。
背後から足音が聞こえ――その直後、太一郎を蹴ろうとした少年のみぞおちに膝が入っていた。
男は後ろ向きのまま、太一郎の腕を押さえていた少年の頬を肘で殴る。そのまま、身体を押さえていた少年の襟首を掴み上げると、呆然と立ち尽くす少年に向かって突き飛ばしたのだ。ふたりは抱き合うように地面に転がった。
太一郎も驚いたが、郁美はもっと驚いているだろう。
そのとき、最初に膝蹴りを食らった少年がよろよろ立ち上がり……その手にナイフを持っていた。
少年は奇声を上げ、背中を向けた男に突っ込んだ。
「卓巳! 避けろっ!」
太一郎には叫ぶことしかできない。