愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
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廊下にいたのは奈那子の祖父、桐生久義だ。


「話は聞いた。あの源次め……ただでは済まさんぞ」


腹の底から唸るような声を出す。だが、今の太一郎には呪いの言葉すら苦痛だった。


ただ、やり直したかっただけだ。

自分の犯してきた罪を悔い改め、償いの道を選んだつもりだった。

もしこれが太一郎の悪行に下された罰であるなら、神様は間違っている。太一郎自身の腕や足を持って行けばいい。諸悪の根源である男性自身を切り落しても構わない。

なのに、奈那子を苦しませ、絶望に追い込み、尚且つ命まで奪おうなんて……無情にもほどがある。


太一郎は真剣に願っていた。

可能なら、自分に残された命すべてを、奈那子に差し出したい。娘の、美月のためにも。


名前を付けることに遠慮と躊躇いを感じていた。そんな太一郎の思いが、奈那子に疑惑を抱かせたのかもしれない。そう思った太一郎は、あえて皐月から名前をもらったのだ。

“美月”それは自分の子供だ、と思いを籠めた名前。


そのとき、NICUで渡された携帯から着信音が流れた――。


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