愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
「さ、えき?」
一歩ベッドに近寄ったとき、太一郎は床に落ちている白い塊を蹴飛ばした。
拾い上げた瞬間、それが丸められた女性用の下着であることに気づき……太一郎は心臓が耳の横に移動したような錯覚に囚われる。
バクバクと音を立て、今にも爆発しそうだ。
茜はベッドと壁の隙間に座っていた。膝を抱え込み、顔を伏せたままで……何かに怯えた様子だ。
「さえ……茜……頼むよ、なんでもない、大丈夫だと言ってくれ」
太一郎は心から願った。
そして、茜が顔を上げた瞬間、太一郎の中に底知れぬ怒りが湧き上がる。
(北脇の野郎! 俺がヤツを甘く見たばっかりに)
太一郎は自分の責任を痛感した。だが、太一郎には奈那子がいる。茜にも借りがあるとはいえ、ふたりを守ろうなんて土台無理な話だ。
たとえ……茜と一緒にいるときの太一郎が、わずかな時間でも贖罪を忘れられたとしても。
それを求めることは、太一郎が自らに許した選択肢にはなかった。
「太一郎の……せいだよ」
茜は太一郎の方は決して見ようとせず、両手で自分の肩を抱き締めたまま言葉を続ける。
「あの……北脇って男に……レイプされたのは太一郎のせいなんだからっ」
そう叫ぶと再び顔を伏せ、小さな身体を余計に小さくして……肩を震わせた。
一歩ベッドに近寄ったとき、太一郎は床に落ちている白い塊を蹴飛ばした。
拾い上げた瞬間、それが丸められた女性用の下着であることに気づき……太一郎は心臓が耳の横に移動したような錯覚に囚われる。
バクバクと音を立て、今にも爆発しそうだ。
茜はベッドと壁の隙間に座っていた。膝を抱え込み、顔を伏せたままで……何かに怯えた様子だ。
「さえ……茜……頼むよ、なんでもない、大丈夫だと言ってくれ」
太一郎は心から願った。
そして、茜が顔を上げた瞬間、太一郎の中に底知れぬ怒りが湧き上がる。
(北脇の野郎! 俺がヤツを甘く見たばっかりに)
太一郎は自分の責任を痛感した。だが、太一郎には奈那子がいる。茜にも借りがあるとはいえ、ふたりを守ろうなんて土台無理な話だ。
たとえ……茜と一緒にいるときの太一郎が、わずかな時間でも贖罪を忘れられたとしても。
それを求めることは、太一郎が自らに許した選択肢にはなかった。
「太一郎の……せいだよ」
茜は太一郎の方は決して見ようとせず、両手で自分の肩を抱き締めたまま言葉を続ける。
「あの……北脇って男に……レイプされたのは太一郎のせいなんだからっ」
そう叫ぶと再び顔を伏せ、小さな身体を余計に小さくして……肩を震わせた。