深淵に棲む魚


 けれど、出来なかった。


 一度煌びやかな世界を垣間見た私は、水の世界の禁忌を犯したようなものだった。

 のっぺりした年月の中で、あの夜の貫くような胸の痛みはヒリヒリしたものに変わり、やがて微かな疼きに変わって、心は次第に癒えて行った。

 交代するように募り始めたのは、どうしようもない孤独だった。




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