gardenquartz 小さな楽園
曖昧な数日間
そんな劇的なkissを味わえばボーッとするだろ。
ましてや恋い焦がれた相手の極上のkiss。
あっという間に終業式の金曜日になったって訳。

kissの事やその辺の事は修利には話していない。
学校を出た俺達は渋谷のファミレスに入って、日曜日のゲームの話をしていた。

昼間のファミレスはザワザワうるさいからゲームの話をしても誰も聞いちゃいないだろう。
元々他人には無関心の街だからな。


まぁ夏休みだし、男だし、1週間位居なくてもさして大事にはならないだろう。
持ち物も男の持ってく物なんてたかが知れてる。


そんな話をしていたら突然視界が真っ暗になった。
『ヤッホー♪』
とハスキーボイス。絵梨佳だ。


修利は片手を上げて
『ヨォ~。』と笑った。

絵梨佳の手を軽く振りほどき絵梨佳を見た。
相変わらず際どい格好している。

今日はビキニの上にザックリ編んだサマーニットで下は布を腰に巻き付けたパレオ風だが片足の太股があらわになってる。

絵梨佳の隣には知らない女が恥ずかしそうに佇んでいた。
髪は黒いが、シャギーが入って狼みたいなヘアスタイルに左の鼻にピアスが光っている。
黒のタンクトップにダメージジーンズをはいていた。
左の鎖骨の下にトライバルの蛇のタトゥーが入っていた。

絵梨佳は連れの女の子を指差し言った。
『この子シェアハウスの子で名前は那緒(なお)って言うの。』
那緒はペコリとお辞儀をした。


絵梨佳は修利の隣にさっさと座り、那緒はモジモジしていたので俺が席の奥にずれて
『どうぞ。』と隣を手でポンポン叩いた。
那緒はちょこんと座った。


絵梨佳は修利の隣でご機嫌だ。
元々ご機嫌なヤツだけど、分かりやすくて素直なヤツなんだよな。

『男同士で何話してたの?何かやらしいことでしょ?』
絵梨佳はポンポン話をふってきた。


俺はニヤリと笑って『そんなもんじゃないよ。二人でラブラブ旅行の話だよ。』

絵梨佳はアハハと笑い修利の方を軽く叩いて言った。
『修利のヴァージン奪われるのね!』

那緒は赤くなってクスリと笑った。


絵梨佳の友達は良いヤツばかりなんだよな。


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