gardenquartz 小さな楽園
俺は真っ暗な空間に居た。
回りは全て闇に覆われて今立っているのか
どうなのかも分からない。
叫んでも、走っても闇が続くばかりだった。




『……………。』


何かが聞こえた!
でも、何を言っているのか分からない。

『か……………。』

俺を読んでいるのか?

『和樹!!』
今度はハッキリ聞こえた。
そして、頬に微かな痛みが走った。


俺は声のする方向へと走っていこうと必死で走っている筈だったけれど、回りが闇なのでどの位走ったのか分からなかった。


『和樹!!目を開けて!!』


碧さんの声だ。
俺はどうなったんだ?



眩しい。
俺は瞼を開けた。
目の前に碧さんが心配そうに俺を覗き込んでいた。


俺は体を起こそうと動いたがフラフラして思い通りに動けない。

碧さんが慌てて俺の肩を掴んで起きるのを手伝ってくれた。


『修利は?』
俺は何が何だか分からなかったが、碧さんは取り敢えず無事なので、修利がどうなったのか知りたかった。

『俺ならここに居る。』
碧さんとは反対の俺の横に居た。

俺は頭を振りながら、このフラフラ感を早く拭いたかった。
修利が心配そうに言った。
『お前、あんまり無理するな。』


『大丈夫。』
俺は直ぐに答えた。
『ここは何処だ?』


碧さんが優しく答えた。

『何処かの島らしいわ。湿気が凄いからかなり南の方ね。私も眠らされたから詳しい場所は分からないの。』

そして碧さんは振り向きながらキツイ口調で言い放った。

『ちょっと!今回のゲームが何時もと大部違うけど、どう言う事よ!!』


碧さんの向いた方向にはあの迎えの男が椅子に座っていた。
さも楽しげに。
俺は怒りが込み上げてきた。


男が椅子から立ち上がりこちらにユックリ近づいてきた。

『先程も言いましたが、今回のゲームは特別なのです。そちらの方の麻酔薬の量が少し多かったようで、申し訳ありませんでした。』

全く悪びれた感じがしないのは
わざと薬を多くしやがったなコイツ。

俺はヤツを睨んだ。怒りのせいで意識がハッキリ戻った。
コイツ何時かヤってやる。


男はニヤリと笑いまるで笑い話をするかの様に言った。

『私の任務はここで終わりです。碧木様。今回は主催者が貴女様がご参加すると聞いて、大変喜ばれておいでて、特別な志向を凝らしている様です。』


碧さんは更に顔を険しくさせて言った。

『今すぐ出て行きなさい!』


男は深々と御辞儀をして、スルリと部屋から出ていった。


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