gardenquartz 小さな楽園
束の間の再会
碧さんは崖から一気に走り降り、川向こうに渡り、キャット達と落ち合う為に川を左に河口に向かった。


途中何組かのチームとやり合ったが、碧さんの1人勝ちだった。
殆ど相手が引き金を引く前に、碧さんはペイント弾を正確に相手の眉間に撃ち込んで居た。


俺は付いて行くので精一杯だった。


碧さんの神経が研ぎ澄まされていく。
恐らくソルジャー時代に近い感覚を
取り戻しているに違いない。


川縁を走っていると、突然碧さんが滑り込んだ。
俺は碧さんの直ぐ後ろを走っていたので、碧さんを踏みつけそうになった。
すると、碧さんは俺の足首を掴んで思いっきり自分の方へ引寄せた。


チリ!


頬に小さな痛みを感じた瞬間に、俺は仰向けで勢いよく、倒れた。


碧さんは俺を倒すと。体勢を直ぐに立て直し、銃を構えて辺りを警戒した。


仰向けに倒れた俺は目がチカチカしたが、直ぐに起き上がり、銃を構えて碧さんと反対方向を向いて、辺りを見回した。



すると、何かが頬を伝っている。
左手で頬を触って、その手を見た。
血がベットリついていた。

俺は倒れた所を見て、ギョっとした。
キャットが使っていたワイヤーより更に細い、蜘蛛の糸みたいな糸が1本ピンと張られていた。

俺の血が付いて糸が在ると辛うじて、分かった。
もし、知らずに走っていたら、俺達は確実に首と胴体が離れていただろう。



『Twinsだわ…。』



碧さんは糸を注意深く切った。


フュン!!


何かが碧さんの首の横を飛んできた。



カツン!!


細いナイフが木の幹に突き刺さった。
碧さんの髪がパラリと地面に落ちた。





『アハハハハハ!!』



甲高い笑い声が響いた。
川と森が共鳴し合って、笑い声の場所が特定できない。


『和樹!!川向こうへ走って!!』
碧さんが俺の腕を掴んで叫んだ。

俺達は足場の悪い川岸を渡り向こう側へ走った。
幸い川の深さは膝より低かったので、水に足を取られる事無く、無事に向こう岸にたどり着いた。


俺達は太い木の陰に隠れた。


碧さんが自分のバッグから発煙弾用の銃を取り出した。
そして、向こう岸の森の上空目掛けて撃った。



ヒュルヒュルヒュル………パンッ!!



灰色の煙りを上げて弾は飛び、上空で破裂して鮮やかな赤い煙が辺りを包んだ。



『Goddam!!』

悪態が聞こえた。



追ってくる気配が無いのを確認して、俺達はそのまま河口に向かうことにした。



あの発煙弾の意味が修利達に分かる事を願いながら……………。











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