もし僕がロボットになっても
野望
僕は僕であり続けただけで、変わったかといわれたら生まれたときから何も変わっていないだろう?いつもそう思って、変わるはずもない僕にもかつては自分の生まれてきたことを一度だけ悔やんだことがあった。

僕が施設から引き取られたのは幼稚園に入るころだった。
僕の実の母親はどうして僕をおきざりにしたのか。そして、何故施設育ちのこんな僕を父親が引き取ったのかはわからなかった。
僕は毎日息子を幼稚園に迎えに来る友人の母親が羨ましかった。
何か悪いことをした時は必ず母親は子供を叱る。だけど僕の家ではそんな光景は見たことがなかった。僕の義理の母は僕を怒ることはなかった。何かあれば兄弟で僕だけ血がつながっていないことを気の毒に思っていたのだろうか、だから母は姉や弟を叱っても僕を叱ることはなかった。そして、何かと僕を特別扱いしてくれていた。
だけど、そんな母親が僕は嫌いだった。なんだか、自分だけが疎外されている感覚を感じてしまうからだ。
ある日を境にひどくうっとうしくなってしまった。
それは僕が高校に進学したときの事だった。お昼時間に僕は弁当を持ってくるのを忘れていた。何かとおせっかいな母親は僕に朝から電話をかけていた。
母「お弁当忘れてるけどお昼は大丈夫なの?
お金は持ってる?」

僕「お金持ってるから大丈夫だから。」

と、一言だけメールをして後は無視していた。
くだらない時にだけ僕に取り入る姿があたかも血縁者との距離感を、みせつけてくるからだ。まるで、僕という存在を無意味なガラクタのように扱われる。そんな感覚を味わっていたのだ。

ある日の午後、けんじと昼食を買いに売店にいこうとした時、母親が教室に弁当をわざわざ持ってきた。

すると、周りの同級生に僕はちゃかされた。

友人「お前、わざわざ忘れたから持ってきてって頼んだのかよ?」
別の友人「まだ母ちゃん母ちゃんゆってんの?超キモいんですけど~!(笑)」

冗談で言った友人の言葉が僕のプライドを刺激し、その瞬間バンっと机をけりとばし僕は黙りこんだ。
同級生たちは静まり返り、シーンとした空気が漂った。

母が優越にひたり、僕が恥をかくからだ。
つまり、それは僕にしてみれば勝負すらしてないような敗北を初めから感じざるを得ない状態であり、勝ち負けにこだわる僕の存在をバカにしているようなそんな感覚を味わっていた。

その日家に帰って人生で初めて義理の母親に文句を言った。

僕「俺弁当とかいらないから。」

そう一言告げてから、部屋に閉じこもった。この日から僕は義理母と口を聞くことはなくなった。

この時、潤平は心の中で、母を恨んでいた。
度々、プライドに触るようなことをした母がうざくて仕方なかったのだ。

どうして僕はこんなちんけな場所で育ったんだ。世の中は僕を中心にまわってるんだ。だから僕をバカにするやつ、母親や同級生もみんな嫌いだ。
そんな風に、潤平は思った。
それから潤平は次第に孤立していった。

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