背龍綺譚(せりゅうきたん)改

「ただいま…起きて大丈夫なの?」
リビングには充では無く仁龔が居た。

「昨日よりはずっと良い」

「うん…顔色は良いね。大ママは?」

「仕事」

「…周に何か言われたのか?」
少しよそよそしい砦を仁龔が覗き込む。
大ママ特製の香油がふんわりと香る。

「…言われた…」

「何を?」

「アタシが聞きたくても聞けなかった事…仁龔が言ってくれても良かったんじゃない?」
仁龔に向き合えず余所見しながら砦は言う。

「うん…」

「もう、こんな事…嫌だ…」

「こんな事?」

「自分でも分からない感情…上手く表せない、上手く聞けない…」

余所見したままの砦の頭を仁龔が撫でる。

「そうか…そうだよな…もう、理解出来る頃だよな」

「… …」

「周から聞いたんだろ?あいつの事だから嘘は言ってないと思う…」

「うん…」

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