神様修行はじめます! 其の三
「ベルベットちゃんたら! アマンダは心配して・・・」


「端境の当主よ! 我等をここへ呼んだ真の目的はなんじゃ!?」


絹糸がマロさんに向かって叫び、激しく睨み付けた。


アーモンド型をした黄金色の目の色彩が濃くなる。


体毛がゾワゾワとざわめき、周囲の空気がパチパチと皮膚を刺激する。


ちょ・・・なんなの突然!?


おいおいおい! まさかこんな所で変化するつもり!?


「なにを申されまする。麻呂は何も・・・」


「おためごかしは、もうよい! この期に及んで見苦しいわ!」


ね、ねぇ、やめてよケンカしないで。


こんな薄暗くてジメ暑い場所でケンカなんかされたら、空気悪くて仕方ないよ。


酸素が薄くなるって。


はい、とにかく双方、大きく深呼吸ー!


・・・てか、いったい原因はなに!?


急展開な置いてきぼり状態で、完全に外野扱いじゃんあたし達!


状況説明してくれ! 頼むから!


― スッ・・・ ―


セバスチャンさんが絹糸の斜め後ろに移動した。


マロさんを注視しつつ、門川君とお岩さんと、あたしを庇うように。


冷静な目は冷え冷えと冴え、はっきりと戦闘の気合が充満している。


なんなの? セバスチャンまで。


とりあえずあたしは、わけも分からず門川君の前に立つ。


事情はさっぱりだけど用心するに越した事はない。


「おためごかしではおじゃりませぬ。ほんに代替わりの時を迎えたのでおじゃります」


「まだ言うか!」


「いえいえ、ほんに、今この時こそが・・・」


白塗りの中のふたつの目が三日月形に笑う。


赤く染まった口角が、にいぃっと上がった。


「端境一族が門川一族に取って代わる、代替わりの時でおじゃるわ」


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