神様修行はじめます! 其の三
「憎んでも飽き足らぬ門川一族に、共に復讐を果たすぞよ」


その恍惚に満ちた声と表情に絹糸がハッと息を呑んだ。


「お前、なにをする気じゃ?・・・まさか!」


「ホホホ・・・」


「よせ! それに触れるでない! やめよ!」


生白い指が黒髪から離れた。


その指が、雛型の顔を覆っている不気味な模様の描かれた紙に触れる。


「この、痴れ者めが――!!」


― ブワアァァッ! ―


絹糸の毛並みが瞬時に膨れ上がり、神獣の姿に変化した。


解放された気の力が、白い煙のように周囲に渦巻いている。


うわ! ついに変化しちゃった!


間髪置かずに絹糸は、煙の中から激しい咆哮と共にマロさんに向かって飛び掛った。


巨体が、信じられないほど敏捷に宙を飛ぶ。

その途端に・・・


―― キンッ! ――


空気を震わす音がして、絹糸の体を半透明の黄色い三角形の膜が包み込んだ。


あれは端境の結界術だ!


「・・・!?」


絹糸は一瞬で猫の姿に戻ってしまい、そのままドサリと床に落ちる。


あたしは大慌てで、周囲の煙を片手で払いながら駆け寄った。


門川君とお岩さんも血相変えて駆け寄る。


「絹糸大丈夫!?」

「しっかりしろ! 絹糸!」

「う・・・・・ぬかった・・・わ・・・」

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