神様修行はじめます! 其の三
自分自身と、未来を信じろ。

それはあの別れ際に彼に言われた言葉だ。


ちゃんと聞いていたつもりだったけれど、あたしは聞いていなかった。


再び心に刻み込まなければならない。今、ここで。


「門川君・・・」

あたしは手を差し伸べた。


彼の冷たい大きな手が包み込んでくれる。応えてくれる。


信じる。信じるよ門川君・・・。


「こりゃお前ら、はようせい。皆が探しておるぞ」


「あぁ、分かっている。いこう」


「小娘、お前も余計な事は一切口にするでないぞ」


「う、うん」


さっきの一件が表沙汰になったら、また面倒なことになりそうだ。


黙っているのが賢明だろう。


ヘタすりゃ凍雨君や氷血の一族まで巻き込みかねな・・・

あ!


「そ、そうだ! 凍雨君としま子が!」


「どうかしたのか?」


「権田原の里で、気味の悪い異形のモノ達に襲われたの!」


大丈夫かな! ふたりとも無事でいるだろうか!

あの後どうなったんだろう!


「とにかく相手はものすごい数だったの!」


「里の中の動向なら、あの一族は全て把握している」


「鳥の巣穴の引越しまで、手に取るように感知する連中じゃからのぉ」


「だからすぐに救助に向かったはずだ。心配は無いよ」


そ・・・そうかな。そうだといいけど。


里も無事なんだろうか。


あ! ふたりが救助されたならされたで・・・

それじゃ凍雨君の一件が皆にバレちゃうって事じゃん!?


だ、大丈夫かな凍雨君・・・。

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