神様修行はじめます! 其の三
塔子さんは大量に失血し、体力も尽きかけている。

玉のような汗が滴り落ち、目の下は黒ずんで、唇の色も青くなり、凄惨な表情に死の影が濃くなっていく。

そう、着々と自身に忍び寄る「死」という現実。

それは紛れも無い恐怖であろうはずなのに。

それすらも凌駕するほどに、彼女は激しい強固な意志を持ち、立っている。

凄まじくも一途な情念のこもった真っ直ぐな視線の、その先には・・・


そこには、

門川君がいた。


全精力を傾け、仲間の治癒に専念している門川君が、一切の手も気も抜けない状況下で塔子さんを見ていた。

その目が、あたしと同じ疑問を問いかけている。


なぜ?
なぜ、あなたはそこまでするのか? と。


奥方の遠縁。そのせいで負い目を持っている彼女。

でも、それだけの事になぜそこまで?

そんなにまで門川君に罪悪感を感じるなんて、どうして?


「永久様、もう、私はこれで最期です。だから今こそ、お伝えしなければなりません」


青紫色の唇が、言葉を紡ぐ。

尽きかけた命の火の宿る一途な視線と共に。


「あなた様の御生母、淡雪様を殺害したのは・・・私の母でございます」

「・・・・・・!?」


門川君の両目が大きく見開かれた。


塔子さんのお母さんが、門川君のお母さんを殺した!?

< 411 / 460 >

この作品をシェア

pagetop