赤い靴
「今日は随分早いな」
「うん、休み貰ったから」
「休みを貰った?」
お前がか?と言いたげなその瞳に、私は苦笑いをこぼす。
「昨日足くじいちゃって。病院行ってきたの」
「…そうか」
それだけの会話を終え、ネクタイをほどきながら寝室へ向かってしまおうとする体。
いつもなら黙って見ているだけの私だけれど、今日はそれじゃいけないと決めたから。
「将吾」
「…、」
立ち上がり手を伸ばし、その腕を掴んだ。