赤い靴
失い、もう戻らない日々。
悔やんで泣いて、それでも一つ知ったこと。
「そして出来るのなら、結さんを幸せに出来る存在でいたい」
抱き締めてくれる、その優しさ。
「…バツイチのアラサーですけど」
「うん。いいよ、何でも」
惜しみ無く注がれる、愛情。
「結さんが転ぶ度に手を差し出すし、泣く度に涙を拭いてあげる。結さんが踊るなら一緒に踊るし、踊り疲れたら毎日靴を脱がせてあげる」
「…甘やかしすぎでしょ」
「うん。好きな人には、それくらいしてあげたいの」
「……」