私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
“わたし”の一目惚れ
“わたし”は岩崎さんに恋したらしい。いわゆる一目惚れ?

確かに岩崎さんは、“わたし”の好みのタイプだ。しかもど真ん中のストライクって感じ。


でも、私は違う。岩崎さんみたいな男臭い俺様タイプはあまり、というよりかなり苦手。

私の好みは、一言で言えば美少年。ジャニーズ系の綺麗な顔で、中性的な男の子が好き。その意味で“玉ちゃん”はかなり私の好みに近いと思う。


異性の好みだけでなく、私と“わたし”は性格がかなり違う。正反対と言ってもいいぐらいに。

私はいい加減でサボりたがり。それが普通だと思うけどね。ところが“わたし”は超がつくほどの堅物。私がサボったり遊ぼうとすると、すぐそれをたしなめたり邪魔したり。おかげでここだけの話だけど、私は未だにバージンなのだ。


『そう言うけど、“わたし”はずいぶんあなたの代わりをしてあげたわよね? 試験勉強とか、残業とか、あなたが嫌がるあれやこれやを……。今のあなたがいるのは、“わたし”のおかげなんじゃない? 』

はいはい、仰る通りでございます。

これまでの人生で特に大きな失敗をせず、そこそこの学校を出て大きな会社に入れたのは、ひとえに“わたし”のおかげだと思う。マジで。


『そう? だったら、“わたし”の恋に協力してちょうだい。いいでしょ?』

えーっ?

『嫌なの? だったらもう助けてあげない』

もう、わかったわよ……

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