私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
ここは郊外の丘の上に建つ教会。私と剛史さんは、小さな喧嘩は絶えなかったけれども、順調に愛を育み、今日という日を迎えた。


厳かなオルガンの調べが流れる中、私は父にエスコートされてバージンロードをゆっくりと歩く。その先で私を待つのは、黒の修道服を着た外国人の神父さんと、真っ白なタキシードを着た新郎の剛史さんだ。今日の剛史さん、すっごい素敵。まるで王子様みたい……



「健やかなるときも病めるときも、喜びのときも悲しみのときも、富めるときも貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」


指輪交換の後、神父さんの片言の誓いの言葉を聞く。まずは新郎の剛史さんから、ただ一言「誓います」と言う。はずだったのだけど……

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